2018年の中学生へ。2030年には何をしている?

12年後。先に書いておくが、未来がどうなっているか誰もわからないし、この記事にもはっきりした未来像は書けない。しかし、団塊ジュニア世代である筆者の中学時代とは比べものにならない圧倒的な情報量がある現代なら、中学生から将来を考えていけるだけの情報を取捨選択することも可能だ。その情報の延長に10年後は存在する。だが残念なことに、今の先生達に中学生の君たちが知り得る情報から10年後の姿を想像する力はないと断言できる。

だから、考えて行動するのは自分しかいない。

今年中学入学。大学まで進学することを考えると、順調に進んで10年後には就活だ。
知人の子の進路に関する話を聞いていたとき、少し未来が気になった。彼も筆者も10年後は高齢者一歩手前だ。サラリーマンなら定年まであと数年といったタイミングである。

さてこれから10年後の社会が予想できるだろうか。まずは今をふり返ろう。2018年、iPhoneが日本上陸から10周年を迎え、AndroidOSも誕生10周年である。今のようにiPhoneがちまたにあふれ、携帯電話がガラケーと呼ばれ、パソコンはタブレットに、マウス操作は画面を直接タップする操作など2008年にはなかった。FacebookとTwitterが日本上陸したのもこの年だ。SNSという言葉すら一般的ではなく、LINEなど影も形もなかった。金融ではリーマンショックという言葉がちまたにあふれかえった時代である。今年中学生なら、当然当時の記憶はあまりないだろう。

だから知って欲しい。当時、多くの人はiPhoneを、スマートフォンを受け入れていなかった。携帯電話で十分じゃないかと。そして会社の情報システムも大手のソフト会社が開発した、ユーザーインターフェースがとても貧弱かつ使いにくいものであふれかえっており、WindowsXPとOfficeWord、Excelで作った書類をわざわざ「プリント」して配布し、進捗確認はその都度電話をかけて聞いたのち、キーボードからシステムに手入力していた時代だ。また営業部や総務部にはそれを専門にこなす人が存在していた。そういう使いにくいシステムを使いこなせる人たちが「できる人」と呼ばれた時代であり、その都度人の手を介してデータを入力できるだけの余力があった時代である。

あれから10年、2018年日本の仕事現場は世界から比べたらかなり遅れている。

iOSやAndroid OSには数多くのアプリが存在し、クラウドと呼ばれるシステムサービスも現れ、iPhoneやAndroid端末とリンクもできる。ドローンと呼ばれる無人機械と深層学習AIを組み合わせたものも出てきた。なによりここ数年でコンピューターは目と耳を得た。画像認識と音声認識である。それだけ一気にいろいろな技術が表に出てきた。

だが多くの企業は未だ10年前のシステムをそのまま少しずつ改造しながら延命し、仕事のやり方を大きく変えてはいない。これが1990年代(コンピューターが世の中に入り始めた頃)ならば許された速度感覚だが、2018年の世界は早い企業と遅い企業で差が開くばかりだ。

ちょうど時期を同じくして、IT Mediaエンタープライズに『「天才を殺す凡人」から考える大企業でイノベーションが起きないメカニズム (1/3)』という記事がアップされた。

「イノベーション」という言葉がここ数年間、ずっと言われ続けてきている。最も言われているのは、iPodもiPhoneも、日本企業の技術なら作れた製品だ。しかしできなかった。そしてドローンである。ロボテク技術を持った企業が多くある日本から、マルチコプター型ドローンは世の中に広まらなかった。今やdjiという中国深圳の企業が世界のシェアを持っている。特別な技術は多くなく、日本でも作れたものだ。

その差はなにか。

それはひとえに「決断の速度」だ。リーンスタートアップという言葉や、アジャイル開発という言葉が飛び交っている。オープン化という言葉も聞こえだした。全てを取り入れればうまく行くわけではない。リスクという失敗要素もそこに絡んでくる。失敗した場合の損失も考えながら決断しなければならない。それが決断を遅らせている場合が多い。組織が大きくなればなるほどその傾向は大きい。さらに言葉自体の意味や本質がわからない経営者も多いだろう。長く見てもここ数十年のできごとだ。経営者の年齢を考えても、最も自分が現場で経験した組織の感覚とは全く違う次元で環境が動いていることを体感できないだろう。逆に今成長している企業は、今のやり方に仕事の流れが対応できている可能性が高い。

だから中学生の君たち。ネットで娯楽を探す一端で良いから、そういう企業や人を意識して探してみることを薦める。少なくとも普通科の学校、特に中学や普通科高校の先生は、こんな事を知っている人はごく希だし、実際に体験した人は皆無だ。

大学まで進学して、大手企業に入れば一生が安泰になる仕組みは崩壊している。

大手企業の日立やSHARP、東芝やNECを見てみればわかるだろう。大学新卒で就職してから企業を辞める人が目立つようになったことも、仕事現場でどのような環境だったのかを考えるきっかけになると思う。

学校では教えられない。自ら情報を取捨選択して“考える”。

時間は高校まで含めれば6年間ある。企業経営の6年と、学生の6年では進む速度がまったく違う。企業経営の6年なんてあっという間だ。その間にどれだけ社会の波に乗るのか、波をつくり出すのか。ほとんど時間がない。反面、学生のあいだはそうした流れにさらされることはない。だからじっくり情報を得て、じっくり見定められるだろう。

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